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ゑすトリア研究所はこの度『有料』というタイトルのフリーペーパーを企画・制作いたしました。
御覧の通り手づくり風でも職人仕立てでもない、完全なる手作業です。
このフリーペーパーは当然のことながら無料ですが、他のフリーペーパーとの差別化を図るため、自由な工夫が施されています。
他のフリーペーパーが定期的に曜日や日にちを定めて発行しているのに対し、当研究所の『有料』は一日に三冊も発行したかと思えば、二カ月間平気で音沙汰が無かったりもします。
また、「フリー」の範囲を広く設定することで、情報誌としての情報量を「こんな情報を誰がいるか」や「いったいこれは何ぞや」というジャンルまでカバー出来ていますし、特別ふろくと謳っておきながらこれといって特別でもなんでもないふろくを付けるなど、とかく「フリー」に関しましてはこれ以上にないフリー感を全面に出して、手作業に没頭しています。
またその配布形態もフリーで、通常のフリーペーパーと明らかに違う点は「どこかしらに落ちている」ことだと言えるでしょう。もちろん、建物の入口などの無料誌ラック設置場所に、通常の無料誌と共に、ひっそりこっそりと紛れているという配布形態もないこともないわけですが、当研究所の扱いとしましては基本的に「奉納」の形をとることで決定いたしました。これに関しましては種々の形態がございますので、参考資料を示しながら、わかる程度に説明をさせていただきます。
「奉納」とは献上することでございます。差し上げること。ゑずトリア研究所は流行りも取り入れまして「エキマエ」というアイテムをいくつか作りました。これは販促グッズのポケットティシューの隙間に『有料』を挟み込んだ斬新なセット内容になっています。
どこよりもローコストをウリにしている当研究所は、この「エキマエ」のセットを作るにあたりポケットティシューを駅前で調達しました。無駄と抜かりがありません。
配布形態の前提でありますが、当研究所はヒューマンによるマンツーマンの冗漫は行っておりません。微専門的用語の乱用でなんのこっちゃわからんと存じますので端的に申し上げますと手渡ししちゃおらんということでご了承ください。よって、駅前配布スタイルであっても「エキマエ」セットは駅前で配っていることは一切無く、どこかに落ちています。
どこに落ちているかというのを限定できる定位置を現在のところもっておりませんが、当研究所では常に前向きな見当しかつけてございませんので、今後「定位置」を提供してもよいとお考えの企業様がおられましたら、テレパシーでご一報ください。たまにキャッチします。
このような状況があります故、しばらくの間『有料』はおおかた隙間に落ちていると考えていただければ結構です。ちなみに、「しばらくの間」という期間が具体的にどのくらいの長さかというのを当研究所が算出しましたところ、データ上では実質「一生涯」という数値が出ています。健全な隙間産業と言いふらしてもらえれば、青年実業家より聞こえが良く、また、活動の幅も狭まりより濃密な活動に集中力を使い果たせるはずですので、隙間があれば気に留めてみてください。密かにグニュリと喰い込ませております。
それが当研究所が行っている隙間活動「奉納の儀」でございます。遠目にはわかりにくかろうと思いますのでどうぞ、そちら様から近づいていただけますよう、心の中の奥底の手前の横の、向こう三軒両隣りより、切に願いまして配布形態の説明のほう終了させていただきます。
参考までにフリーペーパー『有料』の隙間活動「奉納の儀」は武道便所のグレージーなる公衆便所報告とのコラボ企画を水面下で実施中につき、公衆便所の予備トイレットペーパーの芯の隙間にアチョーと喰い込ませていたり、水洗タンクと壁の隙間にティヤーと喰い込ませていたりする場合もありますので、ご注視いただければ幸いに存じます。